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旅日記


2003年05月21日(水)
マハーバリプラム
晴れ
- 新婚旅行客に嫉妬する -

 
 9時起床。茶色の水、ごみだらけの砂浜、お世辞にも綺麗とはいえないビーチで一泳ぎした後、世界遺産に登録されている「海岸寺院」へと向かう。海パン一丁で、その世界遺産の入り口を訪れると、「服を着てから来なさい」と、インド人スタッフに笑顔で注意される。海岸に建っている寺院だけに、当然海パンで入場できると踏んでいたのに、がっくり。しかも、南インドのお寺では、上半身裸になって入場させるところもあるというのに…。係員に「また来ますわ〜」なんて言葉を残し、ついでに入場料金をチェックしてから帰ることとする。入り口のボードを見て、驚愕。「入場料:インド人-10ルピー、外国人-250ルピー」、おいおい、取りすぎだろう。高すぎる。250っていったら、定食が10回以上食べられる金額。日本の価値で量れば、5000円とか6000円って感じだ。もはや、「また来ますわ〜」の気、全くなし。戦意喪失。「写真だけとりに、また来ますわ〜」。

 12時、ホテル近くの商店にて、1日20ルピーのレンタサイクルを発見。早速借りて、マハーバリプラムの街中を、こどものように走り回る。はじめて自分の自転車を買ってもらったこどものように、思い切ってブレーキを掛けてみたり、前輪を浮かせてみたり、後輪を浮かせてみたり…。そんなことをして遊ぶ。程なくして、近くの商店の親父が顔を出す。
「おー、すごい、後輪を浮かせるのは、どうやってやるんだ?」
「一回車体を下に沈ませて、それからその反動を利用して、後ろだけを跳ね上げるんだよ」
親父、理解できたのかい?どうやら理解できていないようだ。インドでは、ちょっとしたことでびっくりされることが間々ある。たとえば、海で普通に泳いでみる。そのことだけで、インド人達の視線を奪うには十分だ。バタフライでなくても、クロールでなくても良いのだ。平泳ぎで普通に泳いでみる。すると、多くのインド人が羨望のまなざしで俺に注目するのだ。どうやら、インド人は、そのほとんどが泳げない様子。学校にプール設備があるはずもなく、泳ぎを覚える機会なんてものは皆無なのであろう、そんな推測をしてみる。

 20Kmほどは自転車で走ったであろうか、マハーバリプラム内の一通りの観光名所を回り、途中で通行人の親父をケツに乗せたりした後、16時頃ホテルへと戻る。インドは、知らない奴に対しても、「ちょっと、後ろに乗せてってくれんか?」なんて声をかけることができる国だ。「同じ方向だし、席もあまっているようだし、だったら乗せていってくれんかのう」、当然のように、「良いよ」、気軽に返事が出る。軽い坂道で、親父を背中して、立ちこぎしてみる。「まるで俺はリクシャーワーラー(人力車こぎ人)のようだね」と、俺が話し掛けると、にやりと親父が笑った。かつての日本にもあったと思われる、こういった習慣、何か少し心地よく感じる。ところで、インドでは、「あなたのものは俺のもの」といった考え方があるようだ。インド人達は、この考え方を現地人だけの間にとどめることなく、全く文化の異なる外国人をも、その対象に巻き込んでしまう。俺の買ったミネラルウォーター、「水をくれ」の言葉で、俺は何回それを分け与えたことだろう。俺の買った新聞、「ちょっと読ませてくれないか」と問い掛けられて、何度手渡したことだろう。まさにその考え方はジャイアンそのもの。
「のび太、おまえ良い物もってんなぁ〜」
しかし、これが「ジャイアンとのび太の関係」だけに終わらないところが、ドラえもんの世界とインド世界との違い。ここには、多少なりとも「自分の物はあなたの物」、そんな意識もあるのだ。俺がタバコを1本渡して、相手がクッキーを1枚俺に手渡す。金額にしてみれば、俺が圧倒的に損をしているが、良しとしようじゃないか。ただ、ジャイアンのような考え方を持っているインド人も相当数に上る。「タバコをくれ」、「何か日本の土産をくれ」、「時計をくれ」、「サングラスをくれ」、「5ルピーくれ」…。この国には、「富める者が貧しい者に何かを分けあたる」、そんな文化もある。ただ、バイクに乗っていたり、車を持っていたり、ファッションに気を使っていたり、そんな、明らかに「おまえは貧乏じゃないだろう」という人間も、「…をくれ」、そんな言葉を平気で投げかけてくる。日本であれば、外国人に対して物をあげることはあっても、彼らに何かをねだるという状況はあまりないはずだ。そんな文化、慣習が身についている俺から見ると、「せっかくインドまで観光に来たのだから、外国人に何かをねだるのではなくて、何かを与えなさい」、そんな風に思ってしまう。上記の世界遺産の入場料にしたってそうだ。外国人観光客は、高いお金を払って、わざわざこの国の文化や歴史を知りに来ているのだ。そんな外国人から、現地人の25倍もの入場料をせしめようというのか。現地人よりも安くしろとは言わないが、もう少し、その差を縮めてほしいものだ。

 17時、遅い昼飯、いや早い夕食を取りに、ホテルのスタッフから聞き出した定食屋へと自転車で向かう。途中、道を歩いていた東洋人カップルと目が合った。軽い会釈とともに「こんにちは」の声をかけてみる。すると、向こうも「こんにちは」の返事。特に夕食へと急ぐ必要もなかったため、10分間ほど彼らと話した。聞けば、彼らは27歳と25歳の新婚さんとのこと。今回の旅行は「新婚旅行のようなもの」だそうだ。男性のスタイルは、しみ一つ無いチノパンに革靴、高級そうなYシャツ、ブランド物のサングラス。女性のほうはというと、紫色のブラウスに長めのスカート、上品そうな帽子。二人とも白い肌をして、時たま目にする、現地服に身を包んだ「いかにもインドを旅行しています」といった(←個人的には、あまり好きじゃない。9年前にインドに来たときの自分がそうだったような気がする。昔の自分を見ているようで恥ずかしい)旅行者とは、明らかに風貌が異なっていた。話しを進めてみると、男性は日本では弁護士の卵だそうだ。そうか、だからこそ、この歳にして、このスタイル、つまりインドでも革靴にサングラスなわけだ(少しお金があって、気持ち的にも余裕がありということ。特に他意は無い)。もちろん、宿泊先は、一泊1500ルピーのリゾートホテルとのことだった。何か彼のスタイルと自分のスタイルを見比べると、少し恥ずかしさを感じてしまう。俺の服装といえば、上がムンバイで買った白Yシャツ、下が、裾が切れてひどい、大学生の時(9年前)に川崎のダイクマで買ったチャンピオンの半ズボン。無職。結婚の予定なし。なんだ、この違いは。同じ日本人なのに。何か、俺ってすごく哀れだ。笑いや悲しさを通り越して、嫉妬すら感じていしまう自分がいた。前言したことと全く矛盾してしまうのだけれども、「サングラスをくれ」、「革靴をくれ」、「嫁さんをくれ」、「仕事をくれ」、「10ルピーくれ」…、少しインド人の考えがわかったような気がした。いかんいかん。人それぞれだ。首を振って、また胸を張り、「良いご旅行を!お幸せに!」、さわやかな言葉を残し、またペダルを漕ぎ出した俺だった。

 わっはっは。馴れない文体で書いたら疲れました。その後飯食って、帰ってきて、今はだらだらしています。明日もビーチでだらっとしよう。

 おやすみ。
 

- 本日の出費 -

レート : Rs1(ルピー)=\2.5

- 移動費 -

From : To : 手段 : 値段 : 所要時間 :
宿 ビーチ 徒歩 - 5分
ビーチ 海岸寺院 徒歩 - 10分
海岸寺院 宿 徒歩 - 15分
宿 クリシュナのバターボール 自転車 - 5分
クリシュナのバターボール パンチャ・ラタ (南の隣村) 自転車 - 40分
パンチャ・ラタ (南の隣村) マハーバリプラム 自転車 - 40分
マハーバリプラム 北の隣村 自転車 - 20分
北の隣村 マハーバリプラム 自転車 - 20分
 

- 飲食費 -

ファンタ * 1 (おやつ) Rs6
ミールス * 1 (夕食) - 定食。カレーとライス、おかず Ra18
ミリンダ * 1 (夕食) - ファンタと同じようなもの Rs8
リムカ * 1 (夜食) - スプライトと同じようなもの Rs6
サモーサー * 2 (夜食) - カレー味イモ天ぷら Rs6
ミネラルウォーター 1L * 1 Rs12
 

- 雑費 -

SCISSORS FILTER * 1 (たばこ) - 1パック20本入り Rs30
宿代 Rs100
レンタサイクル Rs20

更新地 : Mahabalipuram ( INDIA )

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