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2003年09月25日(木) 広州 晴れ - 鍋奉行不在 - |
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ニイハオ。 今日広州に到着しました。桂林発広州行きのバスに陽朔から乗り込みんだのが、10時半頃でした。そしてバス内で8時間30分あまりを過ごし、19時広州駅前の省バスターミナルに到着しました。広州駅近くに安い宿が数軒あると聞いていたので、徒歩で広州駅に移動し、しばらく駅前をうろうろしてみました。 いやいや、ここはでかい町でした。なにせ、ここ広州は人口900万人を擁する華南一の大都会なのです。華やかなネオン、おしゃれな若者達、豊かな生活…。日本の田舎の若者が東京での生活にあこがれるように、中国華南地方の人間達は、ここ広州での生活にあこがれるのでしょう。駅からは、地方から出てきたと思われる人々がひっきりなしに出てきます。一人の若者を見ていました。恐らく、山岳部からやってきた青年でしょう。毛玉だらけのセーターを着て、肩には大きなスポーツバックを抱えていました。中学生のような薄いひげを鼻の下に蓄えた彼は、駅の建物から外に出たとたん、一瞬、ぽかんと口を開け、放心したかのような表情で天を仰ぎ、そして眼前のビル群を見つめました。後から押し寄せる人波に気づくと、我に返り、また歩を進めていきました。 駅前広場には、様々な人間がいました。スポーツバックをかついだ垢抜けない若者たち。公安(警察)にゴム手錠をはめられながら顔を蹴られている若者。それに群がる野次馬。ホテル勧誘のおばちゃん。旅行帰りと思われるスーツケースを持った都会的なお姉さん。地方から出てきたと思われる家財道具を背中に抱えた家族。なんか、すげーや。 さて、広州駅の右手を歩いていると、数件の宿らしき建物がありました。中を覗き込んでいたところ、手招きされました。 「我是日本人無問題?」と聞いてみると「モーマンタイ」とのこと。宿の値段を聞くと、1泊65元。まぁ、大都会の広州では安いほうでしょう。立地も問題ありませんし、部屋の近くには24時間体制で服務員もいるため、安全面でも心配することもなさそうです。部屋を見せてもらったあと、チェックインしました。宿の名前は「広城招待所」。広州駅を出てすぐ右に歩いていくと、50mほどで行き止まりになります(公安があるところ)。その場所です。駅まで徒歩1分。建物自体はほとんど駅とつながっています。 ところで、広州へのバス移動中の話なのですが、途中、ランチタイムがありました。英語が少し話せるバスガイドさんに教えてもらったところ、「30分の休憩です。ランチはバス会社のサービスなので、無料で食べられるわよ。しかも今日のメニューは鍋よ!」とのことでした。14人あまりの乗客のために用意されていたテーブルは3つでした。まずグループの5人組みが1つのテーブルを取り、家族連れの3人組みと老人2人組みが相席で1テーブルを取りました。そして残りの1テーブルには、20代と思われる若い男性が1人、30代と思われる女性が1人、50歳くらいのおっさんが1人、中国語を知らない外国人の俺。いずれも1人ものの変なテーブルとなりました。 笑い声の絶えない他テーブルを尻目に、我らのテーブルでは皆が皆、一言も発することなく、店員が鍋を運んでくるのを待っています。男性は遠くを見つめ、女性は携帯電話でメールを打ち、おっさんは腕組みをしながら目を閉じています。 「あー、なんとも気まずい雰囲気だぜ。何か言葉を発するべきか。でも中国語がわからんからなぁ」 しばらくすると、店員が卓上コンロとともに、出し汁を入れた鍋を我らのテーブルへと持参しました。そしてコンロに火をつけるとその上に鍋を置き、次いで、肉と野菜を持参し…、奥へと消えていきました。この段になっても誰も一言も発しません。若者は割り箸をとぎ、女性は携帯を打ち、おっさんはコンロの炎を見つめています。 「あぁ、やりきれん。タバコでも吸おう」 タバコを手にとると、若者とおじさんの目が私に向けられました。ちょっとネタでもやるか。 タバコを逆さにくわえ、火をつけようとしてみます。 「…」 2人とも無言です。クスリともしなければ、突っ込んでくれることもありません。 「だめだ。この空気、なんともならん」 うつむきながら、逆さにしたタバコを直し、火をつけたのでした。 タバコを吸い終わるころ、ついに我らの鍋もぐつぐつと音を立て始めました。というのも、我らのコンロは火が弱いらしく、他テーブルのぐつぐつに遅れること5分。やっと沸騰しはじめたのでした。 「よし肉だ肉。まず肉だ」 俺的には肉の入れ時です。でも俺には中国式鍋のしきたりを全く知りません。肉をしゃぶしゃぶのようにして食うのか、鍋の中に入れてよいものか、俺は他の人の行動を真似することしかできないのです。ということで、何の動作もすることなく、沸騰してから1分くらい待ってみました。 「おい!誰か、誰か!肉をそろそろ入れてくれ!入れるべきだ!」 さらに1分くらい待ってみました。誰も何の行動もおこしません。 「おいおい!周囲のテーブルは食い始めて10分、すでに中盤だぜ!」 もう駄目でした。隣テーブルでは肉をそのまま鍋に放り込んでいたので、俺もそれを真似することにしました。 肉の皿を手に取ると、右隣のおっさんに目で合図して、肉を鍋に放り込みました。 「いいんだよね。誰も何もやらないから、俺がやったよ。いいんだよね?」 誰も文句を言わないし、よく分らんので、豆腐と野菜も一気に放り込みました。 「いいんだよね…」 5分くらいが経過しました。グツグツといい頃合いです。我々の鍋はまだ誰も口をつけていません。言葉を発するものも現れません。 「うーむ、中国では年長者から食うとか言うしきたりみたいなのがありそうだな。若者が真っ先に口をつけたらまずいのかなぁ」 隣のおっさんの表情を伺います。 「おっさん、食ってくれよ!たのむよ!」 1分待っても、誰も食いません。 「なんじゃいこりゃ!中国人はもっとガンガンタイプの人々かと思っていたら、意外と遠慮というかそういう部分も持っているんじゃぁないか!。早く、早く食わないと、30分の休憩が終わってしまうよ!」 「もう駄目だ、しきたりもマナーも関係ない。俺は食う。食わせてもらう!」 意を決して、箸を鍋のなかに突っ込みました。肉を一番に取るとなんだかいやらしいので、野菜をつまみ、自分の皿に落としました。 すると… おっさんの手が動きそして肉を取り、女性の手が動きそして肉を取り、若者の手が動きそして肉を取り…。 「なんなんだよ、こいつら!」 皆ガンガンです。おっさんと女性の箸が同時に鍋の上に差し掛かり、互いが遠慮して箸を引っ込めたりしています。何か、笑ってしまいました。見知らないもの同士が一言も口を利かずに、もくもくと鍋をつついている。俺の作った鍋をもくもくとつついている。自分の箸を鍋に入れてつついている。俺が最初に手をつけなければ、この人たちはどうしたのであろう…。 そんなことを考えたら、どうもニヤニヤしてしまいました。となりのおっさんが奇妙な目で俺を見ます。 「俺も肉を食おう」 皿に肉を運びました。その時でした。 「出発しまーす!」 「あぁ…やっちまった。予想通りの展開だ…」 我ら以外のテーブルは完食。我らのテーブルのみ8割方残っています…。 「なんなんじゃい!最初から鍋奉行を申し出るべきだった」 寝る。 |
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- 本日の出費 - |
1USD=8.27元 1元=14円 |
- 移動費 - |
From : | To : | 手段 : | 値段 : | 所要時間 : |
陽朔 | 広州 | バス 桂林運輸集団有限責任公司 |
150元 | 8.5時間 |
- 飲食費 - |
牛乳 * 1 (朝食) | 2.5元 |
お茶 * 1 (おやつ) | 3元 |
鍋 * 1 (昼飯) | - |
一肉二菜 * 1 (夕食) | 4元 |
ビール * 4 (夜食) | 12元 |
- 雑費 - |
中南海 Lights (たばこ) | 4元 |
宿代 | 65元 |
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