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旅日記


2003年10月13日(月)
台北
晴れ
- 台湾一周旅行 -

 
 こんにちは。

 本日、台北に到着しました。ここでもシュウと一緒です。10月21日から1年半以上という長い兵役に入るシュウは、台北に住む友達への挨拶もかねて、俺に同行したのでした。ここ台北で金がない二人の選んだ宿は、「Happy Family 1」という台北駅近くの安宿です。ツインルームで一晩550元。一人あたり275元(1,000円弱)といったところです。これでも台北では最安の部類に入るでしょう。相方のシュウはというと、「部屋が狭い」、「トイレが共同だ」、「テレビがない」と文句たらたらです。俺だって広い部屋やテレビがほしいわい!でも互いに金が無いのだからしょうがない。

 さて、ここ台北に到着したということで、本日台湾一周が完了しました。一周に約十日かかりましたが、楽しい経験が盛りだくさんの旅でした。

 台北の空港(厳密には桃園の空港)から直行した台南では、かつての日本人を慕う台湾人の姿に尊敬し、またその姿に涙しました。また「クロネコヤマトの宅急便」、「街角にインテリアとして飾られている昔の日本のポスト」、「そこらじゅうの看板にある日本語」を見て、「なんなんだここは…」と奇妙な気分にもなりました。さらに、「金玉堂」なる店を発見し、通り過ぎる人々の怪訝な表情を気にしながら、看板を数枚の写真に収めました。ぜひその名前のまま日本に進出してほしいものです。

 保安では、日本統治時代に建設されたという木造駅舎の前で、地元のおじさんや警察官と酒を飲みました。ビールを2ビンあけた後、平気な顔でパトカーを運転して仕事に戻る警察官に対し、失笑しました。保安からの列車の中では、駅を出るときに一人のおじさんが渡してくれたお菓子の山を見て、嬉しさと困惑と寂しさと、心が温かくなりました。

 高雄の駅では、シュウを待っている間に日本語の小説を読んでいたところ、「キャー、日本人!日本人!」といった感じで女子高生に囲まれてしまい、30分ほど英語で会話しました。そして若い世代の台湾人が抱く日本へのあこがれに直面しました。また、高雄では、シュウの実家に一週間ほど滞在し、彼のお父さん、お母さん、お兄ちゃん、彼らのサービス精神と優しさと、そんなことに感激しました。特に、お父さんからは学ぶことが多かったです。多くを語らず、態度で示す。「息子は親父の背中を見ながら育つ」、そんな姿勢のお父さんでした。私が中国語を話せないため、お父さん、お母さんとは何かについてゆっくりと話し合うといったような形のコミュニケーションは出来ませんでした。そのことが残念で仕方なかったです。高雄滞在中は、様々なものを食べ、様々なところを訪問しました。全て彼らが私のために計画し、実行してくれたことです。本当に感謝で一杯でした。

 新興村では、シュウのお母さんの実家に3日間滞在しました。そこでは、台湾の田舎の生活を満喫することができました。「台湾でも指折りの田舎だ」とシュウが語ったその場所は、本当に懐かしさで一杯になれた場所でした。美しい田園風景、田園の合間を走るディーゼル機関車、星がきらめく夜空、夜に裏山から聞こえてくる虫の声、遠くにぽつんぽつんと見える民家の灯り。また、新興村に滞在中は、シュウのお父さんの車で様々なところに連れて行ってもらいました。私の「台湾の伝統文化や自然に触れたい」といった意向を汲んでもらい、池上(台湾一の米どころ。日本のコシヒカリも作っていた…)で池上米の名物である弁当を食べ、鯉魚潭で景色を眺め、六十石山に登り、タロコ国家公園で大理石渓谷をハイキングし、3日間に渡って、お父さんは私を様々な場所に連れて行ってくれました。この間、全ての飲食代はお父さん払い。「払う払う」言っても聞いてくれないのです。あぁ、なんと言ってよいのやら。

 台東では結婚式に参加しました。彼ら家族の親戚の結婚式でした。200人ほどの人間が数十個の円卓を囲んで歓談している様に驚愕し、へたくそなカラオケに笑いました。人々が、誰かの歌うカラオケを耳にしながら、日本酒を飲み(飲み物はソフトドリンクと日本酒とビール)、刺身を食べている様子を目にし、ここでも日本を感じました。お父さんから、また隣席になった名も知らないおじさんから度々日本酒を注がれ、ベロベロにもなりました。楽しい経験でした。

 台東の駅で、別れ際にお父さんと握手をしたとき、酒のせいもあったでしょう、目に涙が浮かびました。実は、高雄滞在中、私も含め家族にちょっとした問題が発生しました。問題にぶつかったとき、そのときのお父さんの力強さや、高雄、新興村と私に様々な配慮をしてくれた彼の姿が、台東の駅で一気に思い浮かびました。何度も「ありがとう」と伝えたいのに、言葉が話せないため何も伝えられません。ただ、少し目に涙を浮かべ、おとうさんの手を握りながら「シェシェ」を繰り返したのでした。何やら俺は、この旅行中にとんでもなく涙もろくなりました。優しい人々に出会いすぎたのかも知れません。そして、シュウとの2人旅が始まりました。

 台東から列車で移動した花蓮で、資金に余裕のない2人は公園にて一晩すごそうと話し合っていました。そして選んだ公園は、駅前の繁華街に程近い小さなところでした。セブンイレブンで買ったおでんを二人でつつきながらビールを飲んでいると、周囲に一人歩きをしている男性が非常に多いことに気が付きました。二人で様々な推測をしました。そして、シュウが一人の若い男性に声をかけ、疑問をぶつけました。金髪で、耳にはたくさんのピアスを身につけた若い男性は、我々の推測通りの回答をしました。そう、この公園はゲイの人々が相手を見つける場所だったのです。その若い男性は、我々が興味深げに様々な質問をすると、誠実の答えてくれました。そして彼は自らの悩みも話してくれました。「自分がゲイであることは正しいことなのか?」、「自分がゲイであることを家族に隠し続けるべきか?」…。日本と同じように、台湾もゲイの人々にとっては生活しにくい場所のようでした。公園で知り合った彼を交えて3人でビリヤードに行った後、結局我ら2人は野宿をあきらめ、安ホテルにチェックインしたのでした。しかしその安ホテルにはダブルの部屋しかなく(ツインが無かった)、何やら奇妙な後味を二人ともが保ちながら、頭を逆さにして、つまり彼の足が私の目の前にあり、私の足が彼の目の前にある状態で、眠りについたのでした。

 そうして、今日、ここ台北に到着しました。今日、明日と連日飲み会プランがあります。台北ではどんな思い出ができることやら。

 おやすみ。
 

- 本日の出費 -

1NTD=3.5円

- 移動費 -

From : To : 手段 : 値段 : 所要時間 :
花蓮 台北 バス
大有バス
360NTD 6時間

- 飲食費 -

15NTD
ポテチ * 1 (おやつ) 30NTD
おでん * 1 (夕食) 50NTD
ビール * 2 (夕食) 60NTD

- 雑費 -

L&M MILD (たばこ) 34NTD
宿代 275NTD

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