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旅日記


2003年02月12(水)
サラエボ
曇り時々晴れ
- セルビア人とクロアチア人とムスリム人と俺 -

 
 こんにちは。
 
 今日は朝の9時に起床し、私より一足先にクロアチアのザグレブに向かうダイちゃんを見送った後、一休みして郵便局に行き、ツーリストインフォメーションを訪ね、そして、オリンピックスタジアムに行ってきました。


 午前10時頃、花束を携えた人々の行列に混ざり、Kosevo通りを10分ほど北上すると、目指すオリンピックスタジアムが見えてきました。さらに5分ほど歩くと、通りの左右一面に墓標が立ち並ぶ場所に出ました。ここは1984年に開催されたサラエボ冬季オリンピックの補助グラウンドだったそうです。しかし紛争中、犠牲者を墓地に運ぶことすらできず、このグラウンドを墓地としたとのことです。砲撃を避けるために、埋葬を早朝か深夜に行なったとの逸話もあります。この広大な土地に広がる墓地に実際に立ち入ってみました。クロアチア系の人々のものと思われる十字架が立てられたお墓、ムスリム系住民のものと思われる白いお墓、総計、数千墓はあるかと思われる墓石には、名前が彫ってあるものもあれば、何も彫られていないものもあります。名も知れず亡くなっていった人々も多かったのでしょう。

 墓石に書かれた1992年没、1993年没といった墓誌を見ながら、時々お墓に向かって手を合わせながら、その間を歩いていました。すると、一組の老夫婦が私の目にとまりました。おばあさんは花束を抱いたまま立ち、おじいさんは手で墓石の雪を払っていました。悲しそうな表情を浮かべているわけでなく、かといって笑顔を浮かべているわけでもなく…。二人はゆっくりとした動作で、墓石の横に花束を添え、そこを後にしました。 2人がそこを立ち去ったのを確認してから、私も手を合わせに、そのお墓の前に立ちました。しかし、その墓誌を見て、居たたまれない気持ちになりました。"*** 1963-1993"。あぁ、なんとしたことか、そこは1993年に29歳でこの世を去った方のお墓でした。29歳といえば、俺と同じ年齢です。先ほどの老夫婦は、おそらく亡くなった方の両親か、親戚の方でしょう。昨日、今日と街を歩き、市場も訪れました。市場で一休みしていた老人達の笑顔や、店主の明るい対応を目にして、戦争の傷は、ほぼ癒えたのかな?なんて感じも受けていました。しかし、あたりまえのことですが、数年で戦争の傷が完全に癒えるはずなんてないのです。多くの人がつらい思いを経験し、息子や娘を失ったおとな達、また一方で、で親を失ったこども達も多いはずです。皆そんな傷を心に抱えながら、何とか笑顔で毎日を過ごしているのかもしれないな。そんなことも感じました。墓地内では、十字は切らなくても、何度も手を合わせて黙祷を繰り返した俺でした。

 そもそもこの大規模な戦争はどういった理由から起こったのでしょうか?勉強不足のため、戦争(紛争)の直接的な原因が、私には定かでありません。私が持ちうる知識としては、1992年頃から3、4年の間、セルビア人がサラエボを包囲し、包囲したセルビア部隊から銃撃、砲撃が繰り返され、サラエボ市内のあちこちで多数のクロアチア人やムスリム人が亡くなったということのみです。根元には宗教対立、民族対立というものが当然のごとく存在すると思いますが、何をきっかけにこの戦争がはじまったのか。日本に帰ってから、じっくりと勉強してみたいと思います。

 おばあちゃんやおじいちゃんの哀愁を感じさせる姿に、私は本当に弱いのです。戦争…。これってなんなんだろう。何故、大多数の人々が悲しむような行為を我々は数千年もの間、続けて、繰り返しているのでしょう。私自身は、殺したくなるほどの憎しみの気持ちなんてものを、これまで抱いたことがありません。果たしてそんな気持ちを自分が抱くことができるものなのか、また抱いたとしたら、本当に殺し合いを始めてしまうのか。わかりません。だって、体験したことが無いから。でも、たとえば、自分の家族とかが虐げられる状況に置かれたら、そんな気持ちにもなるのかもしれません。うーん、書いていると、ますます難しい。何で戦争?答えは難しいようで簡単そうだし、いや、やはり難しい。何を書いているのかわかりませんが、まぁ、勉強しながら旅行しているってことです。日本にいたら、こんなこと考えることは無いだろうねぇ。セルビア人が…、クロアチア人が…って。俺にとって、旅行するってそういうことかな。
 
以上。


- 本日の出費 -

レート : 1KM(マラカ)=\60
レート : 1E(ユーロ)=\125

- 移動費 -

From: To:
 

- 飲食費 -

ビール500ml * 4 (夕食) 4.0KM(1.0 * 4)
ツナ缶 (夕食) 1.0KM
ハム (夕食) 1.2KM
コッペパン (夕食) 1.5KM
インスタントスープ (夕食) 1.5KM
 

- 雑費 -

スレデッツ (たばこ) - ブルガリアで買いだめした
-
宿代 E10

更新地 : SARAJEVO ( BOSNIA & HERZEGOVINA)

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