旅日記


2002年5月13日(月)
トロント

- 日本人であることに誇りを感じた瞬間 -
本日は写真なし。

 
 日本にいると、俺は日本人だな〜なんてしみじみ感じて、それに対して思いをめぐらすことなんて皆無に等しいじゃないですか。でも海外にいると…
実は、トロントで普通に暮らしている分には、個人的には、ほとんど感じることはありません。電車に乗っても、街を歩いていても、どこにいても、いろんな人種、様々な国籍の人間がごちゃまぜで。さらに、街中や電車の中で日本語を話していても、注目する人なんかいませんし、隣の誰かが、聞きなれない言葉を話していたって、俺も気にしません。ただ、これがすごいなまっている英語だったりすると、みな目をむいてこちらに注目するのかもしれないけれど…。つまりのところ、何人だって関係ないや。皆そんな感じです。強いて、自分が日本人を意識することがあるとすれば、語学学校に行って、いろんな人と話して、その中で日本や日本人の話題、とりわけ、韓国人や中国人との間で、第二次世界大戦の話題が出たときくらいのものです。

 さて、何が言いたいかというと、トロントで日常生活をおくっている上では、自分が日本人であることを意識して、そのことが自分にとって誇りを感じれることなのか、もしくは逆なのか、そんなことを考える機会もなかなか無いってことです。

 今日、学校からの帰り道、最寄駅のSheppardから自宅まで歩いているときに、一組の夫婦に話し掛けられました。彼らは、雨の中、小さな公園で、ある花を見ていました。私も、この小さな公園にある、ある花の存在は知っていました。その花は、いまや一番の咲き頃を迎え、道行く多くの人々の目を楽しませていたのでした。

「ちょっと、見てみてください!」
「え?なんですか?」
「この花、この景色、すごくきれいだと思いませんか?」
中米もしくは南米系の血を引くと思われる、その夫婦は、丁寧な英語で話し掛けてきました。
「えぇ! すごくきれいだと思います。確かじゃないのですが、”さくら”じゃないでしょうか」
「そうです。これは”Japanese Cerry”です」
「やっぱり! 実は、私は日本人なんですが、桜じゃないかと思っていました。好きなんですか?」
「えぇ!すごく。きれいで。日本には、この花がたくさん咲いているんですか?」
「はい。たくさん咲いています。街中や、特に川沿いや公園なんかでは、すごくたくさん見ることができます。日本では、皆、春にこの花がたくさん咲くことを楽しみにしながら、冬を過ごしています」
「すばらしい!街中で、こんなにきれいな花を、たくさんみることができるなんて。すばらしい国に生まれましたね!」

数分間立ち止まっての、短い会話でした。

 会話のあと、私はすごくうれしくなりました。これまでも、日本人のマナー、日本の電気製品、日本の車、これらを例に出し、日本に対して賞賛の意があるということを私に伝えてくれた人が、少なからずいました。もちろん、その中には、多数のお世辞(ほとんどかな)もあったことでしょう。でも、なにか、今回のって、少し違います。説明できないのだけれども、すごくうれしかった。日本人であることに、誇りを持てた瞬間でした。

 明後日、トロントにマリナーズがやってきます。スカイドームまで観戦に行く予定です。イチローや佐々木をはじめとする日本人プレイヤーの活躍ぶりを目の前にしたら、また何か感じるものがあるかな。当日は、Japanese Day(球場のイベント)ということもあって、多くの日本人が駆けつけることでしょう。楽しみです。
更新地:トロント(カナダ)

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