旅日記


2002年3月21日(木)
ニューヨーク
晴れ
- New Yorkの街を歩き回ってみる -
本日は写真なし


 バスの中では2席占領して横になりながら、NYを目指していました。しかし、どうにも寝れない。後ろの席の黒人さんなんか”いびき”を立てているし、通路をはさんで着座しているかおり&シュウもぐっすり眠っている模様。揺れとエンジン音と、新しい町への期待と…。こんな中でぐっすり眠ることの出来る皆が、なんともうらやましい。

 夜が明けてから数時間、私はボケーっと窓の外を流れ行くアメリカの景色を眺めていました。少し開けた平地には、いたるところに大掛かりな鉄塔が立っています。これが仮に日本なら、携帯電話用のアンテナ?なんてことを想像しがちですが、ココはアメリカ、どうしても、秘密の軍事施設か、もしくはUFOの研究所?そんなことも想像してしまいます。なんてことない、一般家庭の無線用アンテナだったりするのかもしれないですが…。でかい家とでかい庭、家の前にはでかい星条旗、バスを追い越す車のアンテナには、やはり星条旗、窓にも星条旗のステッカー。かつての日本は、こんな国と戦争おっぱじめたんだなぁ。圧倒的な国力と愛国心にあふれる国民を持つアメリカ。竹やりで勝てるわけないべな。日本はかつて天皇に対する崇拝、尊敬といった方法で国民感情をコントロールしましたが、アメリカは何なんでしょう。何が、これほどまでに彼らの愛国心を高揚させるのでしょう。そんなことも思いながら、窓の外を眺めつづけました。私自身、それほど大きな反米感情も親米感情も持っていないと認識していますが、やはり私も日本人。アメリカに対しては、少なからず”あこがれ”のような気持ちを持っています。とりたてて”好き”というわけでは無いのですが、何なのでしょう、この気持ちは。歴史教育の影響? アメリカが世界を代表する国(軍事面や経済面で)だから? アメリカンスタンダードが、日本人、日本社会が汲み入れようと必死になっているグローバルスタンダードそのものだから? なんなのかよく分かりません。そうそう、「アメリカ(ン)ナイズ」なんて言葉がありますよね。これはカタカナ英語にもなっている言葉なわけで…、私くらいの世代(もうちょっと上かな?)なんかは、「この言葉=かっこいい」なんていうイメージを持っていると思います。こんなところにも、日本人のアメリカに対する想いが見て取れるのではないかと思います。もちろん、この言葉、半ば死後です。仮に使ったとしても、ギャグとして、もしくは、ちょっと軽蔑(ダサい)の意味を含む言葉として使うのだろうけれども。そうそう、アメリカの大学のロゴ(「…University」とか「UCLA」とか)の入ったトレーナーやTシャツ着ている子、日本に沢山いるじゃないですか。何がいいのか、「俺にはさっぱり…」なんだけれど。どんなところが、どのようにかっこいいのか、だれか教えてください。俺としては死んでも着たくないです。

 午前7時くらいだったでしょうか。ボケーっと外を眺めていた私の視界に、NYのそれと思われる高層ビル群が入ってきました。
「あぁ、世界の中心NYが現れた!写真をとらねば!」
バックからカメラを取り出そうとすると…、あらー、トンネルに入ってしまいました。まぁ、トンネル出てから写真とろう!そんな風にも思いました。10分後、トンネル抜けたっと。あれれー!ビル郡はいずこへ…。そこはすでにマンハッタンの中心部なのでした…。今思うと、あのトンネルはNew Jerseyからマンハッタン島へ抜けるトンネルだったんですね。マンハッタン島へは、橋を通っていくものと思い込んでいた私。NYビル群の写真を取り損ねてしまいました。

 「:@/.;p-^\/.0-^! Thank you!」
何を言っているのかまったく聞き取れない運転手のアナウンスの後、バスは42nd St.のPort Authority Bus Terminalに停車しました。午前7時半くらいのことだったでしょうか。先ほどまで後ろでいびきをかいていた若い男性もしゃっきり顔です。暢気なかおり&シュウは、未だに寝ぼけ顔。2人を促すようにして、バスを出ました。バスから降りた後、まずは深呼吸をし、ニューヨークの空気を目一杯吸い込みました。さすがにNorth York(筆者が住んでいるトロントの地域名)とは違うぜ。

 さて、バスターミナル内でコーヒーを買い、外で職場に向かうニューヨーカーを観察しながら一服した後、ガイドブック無し、ホテルの決まっていない3人は、NY情報を求め、ツールストインフォメーションセンター探しを開始しました。早速グレイハウンドチケット販売係りのおじさんに尋ねてみました。
「すんません、New Yorkの地図やらが欲しいのですが、近くにツーリストインフォメーションみたいなのはありますか?」
「〜にあるよ(場所わすれました…)」
NYチックな「Yo! Blah Blah… men!」みたいな返事を期待していた私でしたが、いたって普通の返答に多少がっかり…。指定された場所までは歩いて5分ほどでした。道路横にある道しるべ(ストリート名の看板)を頼りに、目指す地点まで歩くと、ありました。名前は「Coach Information Center(カナダではCentreと書きます。英語が違うことを実感!)」だったかな? 中に入ると、たくさんの無料ガイドブック(アルバムページ参照)が…。数冊のガイドブックと、ホテル、観光地、アクティビティのパンフレットをたんまりいただき、センターを後にしました。

 次にやるべきことはホテル探し。これが最も面倒くさい作業です。なんとしても午前中に終わらせたいということで、3人はがんばりました。まずは、友達から薦められていた「Big Apple Hostel」を目指すことにしました。ここは日本人の間では有名らしく、料金もそこそこ安いってことで、推薦された宿でした。しかし、ここでひとつ問題が発生!。なんと、ホステルの住所を家に忘れてきてしまったー! 友達からはタイムズスクウェアの近くだと聞いていたので、近辺を探してみますが、みつかりません。入手した無料ガイドブックを調べても、載っていません。
「困ったねー」
「なんの、こういうときは、プロフェッショナルに聞くのが一番だ!」
ってことで、近くにあったMarriotホテルの従業員(車を誘導したり、車のドアをあけたりする人)に聞いてみました。一見すると、ホテルの従業員に、他のホテルの情報を聞くなんてタブー行為のようですが、同業者ということもあり、そのあたりは詳しいはずです。また、我々が探しているホテルがMarriotホテルと別次元のクラスのものであるため、特に問題ないはずです。とりあえず、シュウと体当たり口撃を仕掛けてみました。
「すんません、サー、このホテル(ホステル)を探しているのですが、知っていたら教えてもらえますか?」
「うーん、聞いたことあるような気もするけれど、場所は知らないなー」
訪ねた紳士は、かっこいいMarriotホテルの制服を着た、ちょっと太目の黒人さんでした。この人が…、ああ、とってもいい人でした。NYに住む人なんていうと、ちょっと冷たくて…みたいなイメージもあったのですが、この人のおかげで、NYが大好きになりました。やっぱりどこの街にいっても、そこに住み、そこに働く人と触れ合うことって大切。NYにはこんなにやさしい人がいる。俺、この街が大好きだー! しごく単純な俺なのでした。
「ちょっと待っててください。いろいろ調べてみます」
と彼は言い残すと、トランシーバーでいろんな人に情報を確認してくれ、さらにホテル内に走り入り、いろいろな情報を集めてきてくれました。
「うーん、お探しのホステルの場所はわかりませんでしたが、近くにYWCAがあります。行ってみてはいかがでしょう」
といって、住所をくれたのでした。おーなんていい人だ。別れ際、彼の挨拶のしぐさに習って、我々も敬礼ポーズで彼の元を後にしたのでした。

 YWCAに着くと、今度はかおりの出番です。一応女性用の宿舎なんで…。かおりがいろいろ聞いてみたところ、「YMCAが近くにあって、そこは3人部屋もあるし、今現在空き部屋があるらしい」とのことでした。早速47th St. (Bet. 2nd & 3rd)にあるYMCAを訪ねると、嬉しいことに空き部屋あり、値段も一人あたり30ドル(TAX込み)程度と、ぼちぼち。日本語勉強中というフロントのおばさんに押し切られ、二晩泊まることに決めたのでした。チェックインが済み部屋に入ると、程なく、かおり、シュウは疲れのためか寝てしまいました。一人暇な私は、小一時間、タイムズスクウェア近辺の散策へと出かけたのでした。

 タイムズスクウェア…。新宿の某所にも地名が真似されるくらいのNYの中心地です。期待して散策したにもかかわらず、あまり感動はありませんでした。うーん電光掲示板やらの広告ばかりで、あまり美しくもないなぁ。ところが、しばらくしてものすごい衝撃が…。なんと、道路からの湯気を発見したのです!
「あやー!沢山のマンホールから湯気がでているよ!」
私っておかしいかしら。昔から…、そう子供の頃から…私の頭の中にはこんな図式が。
「ニューヨーク=マンホールや壁から湯気が出ている」
ちなみにこんなのも。
「シカゴ=マンホールから”くさい”湯気が出ている」(シカゴ在住の人すみません。決してくさいなんてことは無いと思いますが…)
Anyway,すごく感動したわけです。何処からの湯気なんだ?これは、地下鉄か下水道か…、もしや地底都市が…。

 次いで向かった先が、タイムズスクウェアInformation Center。ここは、上に書いたCoach Information Centerよりもお勧めです。沢山の無料ガイドブック、無料パンフレット、無料インターネットブース(ただし、日本語でメールを書くことはできませんでした)等がありました。後、様々な店を眺めながら、ホテルへ戻りました。そうそう、お店を見ていて気が付いたこと。この街には、やはり沢山の日本料理店があります。トロントも同様なのですが、なぜこれほどまでに日本料理(寿司、てんぷら、照り焼き)が人気なのか、さっぱり理解できません。もうひとつ、この街では、サラダ専門店?みたいなのが沢山ありました。ほかの都市の住人に比べ、人一倍健康に気を使うニューヨーカー。サラダ大好きなんですかね。日本料理店も、ヘルシー志向の影響なのですかね。俺的には、サラダばっかり食べているのも不健康な感じがします。バランスよくいろいろなものをってのが一番なんでしょうね。

 YMCAの3人部屋に戻ると、すでにシュウはおきていました。あー、すみません日記が長くなってきた。ちょっとはしょります。その後はシュウと二人で(かおりは寝つづけた)国連本部、マディソンスクエアガーデン、セントラルパークなどを観光し、夕方再度ホテルに戻りました。

 シュウとかおりは、すでに本日の予定終了ですが、私にはもうひとつ大きな予定がありました。それは、人生初のミュージカル鑑賞!。私以外の2人は「あまり興味がない」ってことで、私一人での鑑賞になりましたが、私はうきうき気分でした。チケットに関しては、当日、直接劇場に赴いても席を確保できるらしいですが、残っているのは高額なチケットのみらしい。ということで、NYに来る2日前インターネットにて「美女と野獣」のチケットを予約しておいたのです。ライオンキングほどではないですが、美女と野獣もなかなかの人気のようで、金曜、土曜のほとんどのチケットはすでに売り切れていました。ちなみに、私が購入したチケットは30ドルのもの。チケット購入サイトは、チケットマスタードットコム(有名ですね)です。開園まで2時間程度ありましたが、チケットの受け取りが心配だった私は、とりあえず一人劇場に向かってみました。向かった先は「Lunt-Fontanne Theatre」。早速受け付けの人に聞いてみました。
「すみません。チケットについて聞きたいのですが…」
「わかりました。どうぞ」
「実は、本日の公演をInternetで予約していて、チケット受け取り方法は、カナディアンWill-Callシステムというのを利用したんですが…、ちょっとどういうシステムかわからなくて。今、ここでチケット受け取れますか?」
「大丈夫ですよ。IDと予約時に使用したクレジットカードを見せてください」
ほっとして、パスポートとクレジットカードを差し出しました。
「失礼ですが、カナディアンではないのですか?」
「いえ、ジャパニーズですが、カナダに住んでいるので、そういったシステムを利用したのです」
「あー、そうですか!チケットありますよ!あなたのチケットです」
チケットは無事ゲットできました。そして、もうひとつの心配事を訪ねてみました。
「すみません、もうひとつ質問があります。私は今、ジーンズとスニーカー、ダウンジャケットというラフな格好ですが、これでも入場できますか?」
「もちろんです!服装なんて関係ありませんよ!そのままで来てください!」
「そうなんですか!ありがとう!」
「8時開場ですので、またいらっしゃってください!楽しんでくださいね!」
おーなんというすばらしい対応だ! ミュージカル鑑賞がますます楽しみになりました。

 8時15分前に劇場前につくと、そこには長蛇の列が…。
「へっへっへ、皆チケット持っていないんだな? 俺は持・っ・て・る・よ!」
右手に持ったチケットを、半ば見せつけるように振りながら、列に並ぶ人々を横目に劇場内へ…。っと思いきや、並んでいる人もチケットを持っているではないですか!あやー、俺も並ばなきゃだめなのか。VIP気分がいきなりにして消え…。劇場内に無事入り、そして、指定された席に着いたのは8時過ぎくらいだったでしょうか。程なく美女と野獣が始まりました。

 もちろん有名な物語なので、知っている方も多いと思います。あらすじは書きませんね。初ミュージカルの感想はというと…。
「すごく良かった!」
この一言に尽きます。歌すばらしい。音楽すばらしい。演技すばらしい。特殊効果すばらしい。観客すばらしい。大笑い数十回。涙数回。一夜にしてミュージカル好きになりました。恥ずかしながら、私自身ミュージカルに対し、様々な勘違いを抱いていました。いくつか上げてみると、「ミュージカルは堅苦しいもの」、「ミュージカルは古典芸能」、「演者は本当に歌ったり、話していないのではないか(テープ?)」、「音楽はテープ(CD)?」。全てが覆されました。本当に良かった。演者は本当に歌いそして話し、音楽はオーケストラが生で演奏し、観客は大きな笑い声を上げたりしても問題なく、近代的な音響、照明、舞台技術を駆使して演じられるミュージカル。人間って、こんなにも偉大な表現方法をもち、多くの人に感動を与えることができるんだ! 泣きながらのスタンディングオ
ーション、私だけではなかったはずです。

 ホテル(YMCA)に帰ってからの私は半ば放心状態。その後、シュウと部屋でビールを飲み、夢見ごこちのまま、ベッドに横になったのでした。

 落ちもないけれど、長文読んでくださって、ありがとうございました。2日目についてはまた後日書きます。

 ざざ
更新地:トロント(カナダ)

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