旅日記


2001年6月10日
カンチャナブリー
晴れのち雨

-小失恋-

「カンチャナブリー」


見よ。
この秘境ぶり。
ジャングルです。
 
「レンタル用バイク」


左は「大田区」、
右は「小田原市」。
なぜ400ccに原付ナンバー?
しかも、なぜタイで…?


 11時くらいに起床、頭ががんがんしています。はて、確かビール3本くらいしか飲んでいないのに、なんでこんなに頭痛いんだろう。昨晩、誰かとけんかしたような気もするし、飲み代も払っていないような気もするし…。最悪の朝です。サラリーマン時代も、こんな朝が度々ありました。「今日会社行くの怖い。昨晩上司にまずいこと言っちゃったかなぁ?なんか言ったような気もするけど、気にしていないかなぁ。」。それと同じような朝です。25歳を過ぎた頃から、めっきり酒に飲まれるようになってしまいました。同僚との飲み会の後、会社の自転車置き場で一晩中寝ていたこと等が思い出されます。

 さて、まずは、「まいこ」ちゃんに探りを入れて見なければなりません。昨晩、「まいこ」ちゃんのことが、かなり気に入ってしまったため、なにか、セクハラまがいのことをしていないか、非常に心配です。また、飲み代とか払ってもらっていたら、昨晩「今日の出会いを記念して、飲み代、俺がおごるよ」とか言っていた手前、かなりかっこ悪いです。すでにこのゲストハウスの家族となっている「ゾエ」に聞いてみました。「まいこの部屋は、どこ?」「一番、はじの1号室だよ。多分、まだ寝ているよ」。起こすのも悪いので、ノックはしませんでした。

 暇なので、ゲストハウス前の商店に、おばちゃんを訪ねます。おばちゃんは何か食べながら、1人で暇そうにしています。「おばちゃん、おなかぺこぺこ」、ボディーランゲージでやってみました。すると、おばちゃんは店の商品である果物をたんまり持ってきて、ナイフで切り始めます。「え?、いいよいいよ、高いんでしょ」。おばちゃん、何も言わず、俺の口にぼんぼん放り込みます。マンゴー(多分)やら、数種類の果物を放り込んだあと、さっきまで食べていた餃子のようなものまで、たんまり持ってきました。「えー、高いって、そんな食べたら」。おばちゃん、「$#%#$#$#’」といいながら、食え食え薦めます。勢いあまって全部平らげたあと、地球の歩き方の巻末にあるタイ語講座で、おばちゃんと1時間ほど談笑です。「おばちゃん、ありがとう。はらいっぱい。いくら?」、おばちゃんは、笑顔で「$#”#’”()$’)”」といいながら、首を横にふりました。そして、俺の手を握り、にこっと笑いました。

 午後3時くらいから、この町の見所のひとつである、「クウェー川鉄橋」に行ってみました。クウェー川鉄橋は、映画「戦場にかける橋」で一躍有名になった場所です。ここは、第二次世界大戦中、日本軍がビルマへの軍需物資輸送のため、数多くの現地の人々や、数万にのぼる連合軍捕虜の犠牲の上に、鉄道を敷設した悲劇の地として有名なところです。

 橋までは、徒歩15分程度で到着しました。橋のまわりは、いまや完全に観光地化され、観光客目当ての土産物屋や屋台でにぎわっていました。平和のありがたさを感じながら、一方で、人間の変わり身の早さ、その場主義といったようなものが感じられて、なんともやりきれない気分でした。60年前は、日本軍の泰緬(泰は、タイ&緬は、かつてのビルマ)鉄道敷設のために、また、補給線断絶をもくろむ連合軍の爆撃により、多くの命が失われたこの地で、この橋で、いまや皆が嘆声をあげながら、アイスクリームをなめながら、橋を渡っています。どうしたものでしょう。この地に住む人々の中には、戦時中、日本軍の”おかげ”で親や兄弟(姉妹)、祖父母を失った者もいるはずです。もしかしたら、ゲストハウスのおばちゃんや、昨日笑顔で談笑した大おばちゃんもその中の1人かもしれません。金を持った日本人に対してビジネスの面では笑顔で接することができても、この地に訪ねてきたことを心から歓迎し、寛大な気持ちで接することができるものでしょうか?。ゲストハウスのおばちゃんにしたって、「そうだよ。やさしくしたのは、あなたがお金を持っていて、うちの宿が儲かるからだよ」との思いから、やさしくしてくれたのかもしれません。しかし、私は、昨日の彼女達の笑顔から、それ以上のもの、本当の歓迎を受けたように感じました。数十年前にこの地を荒らした日本という国から来た旅行者に対して、笑顔で、誠意を持って接してくれる彼女達に対して、感謝と畏敬の念を感じえませんでした。そんな風に感じるって、甘ちゃんかもしれません。でも、今はそれでいいんじゃないかと思います。

 夜、10時過ぎ、おばちゃんのただ料理をご馳走になったあと、レゲエバーに顔を出してみました。昨日いた西洋人(ドイツ人)はいますが、まいこちゃんはいません。バーのマスター兼オーナー(28歳)が酒を薦めます。「ビアチャンちょうだい。そういえば、昨日、俺金払った?」と俺。「うん。払ったよ」と彼。良かったです。金はしっかり払っていたみたいです。彼はビールを持ってくると、「今日は、グラス割るなよ」と一言いいました。あれれ。昨晩、俺グラスまで割ってたみたいです。

 昨晩もいたドイツ人のレイナーと話しながら、30分ほど飲んでいたところ、まいこちゃんがやってきました。昨日の非礼を彼女に謝ったあと、いろいろ聞いてみました。「昨日、私の後を追っかけて大変だったんだから…」「昨日、ビール6本も飲んでいたよ…」「昨日、レイナーと喧嘩して大変だったんだから…」。まずレイナーに謝った後(というか、まいこちゃんが来る前に、俺と昨日喧嘩したってこと言えよ!レイナー)、まいこちゃんから衝撃発言です。「私、もうここに2ヶ月くらいいるんだけど、実は彼と付き合ってるの」といって、オーナーの方を向きました。もう、顔から火が出そうになりました。彼女を、その彼氏(28歳のマスター兼オーナー)の前で、半ば口説いたり、後追っかけたりしていたわけです。かっこわる、俺。今日はべろべろにならないよう酒をセーブして、午前3時くらいに帰りました。もちろん、まいこちゃんとオーナーの2人を店に残して。

更新地:カンチャナブリー(タイ)

昨日の日記へ 明日の日記へ

トップページへ