旅日記


2001年9月11日(火)
トロント
晴れ(雨)

-NYでのテロについて-

当日は、街の各地で号外が配られました。

 朝11時起床。TVを付けて見ると、映画をやっていました。映画の中のニュース番組で、「アメリカの貿易センターに飛行機が突っ込んで、ビルが炎上した」なんて言っています。多くの市民、観光客が犠牲になったとも伝えています。キングコングチックな特撮(あるいはCG)モノかぁ…。なんと思いながら、現実味が無く、かつ面白くないんで、チャンネルを回しました。あらら。なぜか他のチャンネルでも同じ映画をやっています。なにかの冗談かとも思いました。しばらくして気づきました。事実の映像だったのです。

 起床後しばらくは、TVから目が離せませんでした。なんでも、2機の飛行機が貿易センターのビルに突っ込んだとの話。しばらくすると、ペンタゴンにも1機突入したとの情報が入りました。なんともむごい。USの世界貿易センターといえば、世界中の観光名所の中でも、訪れるべき場所のひとつに上げることの出来る場所です。崩れたビルの下には、多くの観光客がいたはずです。何故に、観光に来ている人々が、こんな事件で亡くならなくてはならないのでしょう。なんの罪もない人々が…。少人数の思惑によって…。

 テロに関して意見を述べると、ごくごく一般的な意見ですが、テロというものは、被害を被る対象が、民間人中心という点で、特に非難されるべきものかと思います。政府、あるいは軍の人間ではなく、それらに属していない民間、観光目的の人間が標的とされるのです。確かに、歴史を見ると、様々な政府が、様々な立場で、似たようなことを行っているように感じられます。こちらに新聞に掲載されていたのですが、たとえば、広島、長崎に投下された原爆について思いを巡らせてみてください。かの地で、被害を受けた大多数の人間、施設が、民間のものだったはずです。日本の軍部とは関係せず、ごくごく普通の生活を送っていた多くの人々が犠牲になったのです。かといって、今回のテロが、過去の(USの)行動に習って正当化されるものかと言えば、決してそんなことはありません。いつの時代にも、このような行為が非難されるべきものであることは、疑いようもありません。

 こちらの新聞を見てドキッとさせられたのが、「これは、第二のパールハーバーだ!」という記述です。日本人として、見るに耐えませんでした。

 さらに意見を述べさせてもらうならば、今回のテロは、非情なものです。かといって、アメリカの報復行動には、賛成しかねます。もちろん、数千人の人間が、そしてNY(US)のシンボルであるのっぽビルが標的にされた点は考慮しなければなりません。ブッシュさんとしては、アメリカ国民の感情に、そして、経済的な分野で、数々の政治的な配慮をした上で、報復行為を考慮したことでしょう。ですが、やはり「戦争」となると反対です。どこかの国で、NYで亡くなった以上の、それ以上の血が流されることは確実です。悲しいことです。

 なぜ、人間同士で争わなくてはならないのでしょう。なにをしているのでしょう。我々は。

 まずは、皆で考えなければなりません。こんなときに、私個人として思うのが、より大きな敵の出現です。仮想というのが最も良いでしょう。たとえば、地球以外からの侵略など…。どんなに現実離れしていてもかまいません。こんな戦争は本当にバカらしいです.。こういった事件のせいで、更に多くの血が流れるなんて…。

 事件の翌々日には、学校始業時に、無くなった人々に対して黙祷がささげられました。私も同じ気分です。黙祷をしなければいけません。ですが、USの報復で流された血に対しては、黙祷はささげられないのでしょうね。きっと。同じ人間の命。なにかおかしくないですか?

 いずれにせよ、悲しいです。何か出来ないものでしょうか。私たちにも。

更新地:トロント(カナダ)

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