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旅日記


2002年12月14日(土)
サンサルバドル
晴れ
- エルサルバドル入国 -

 
 本日、エルサルバドルに無事入国しました。今日はね、充分注意していたにもかかわらず、危うく旅行中止か?という場面が一度ありました。この旅始まって以来、一番のうっかりでした。

 エルサルバドルは、やはり少しばかりデンジャラスな国らしい。この国でも、田舎の小都市では安心して生活できるが、首都のサンサルバドルとなると、少し状況が異なるらしい。私が昨日まで滞在していたコパン(ホンジュラス)のホテルオーナーも、私がサンサルバドルに向け出発するとの話をすると、「サンサルバドルでは充分注意するように」とのアドバイスをくれました。そんなこともあり、エルサルバドルには明るいうちに入国したいとの思惑から、朝の4時半にホテルを出て、ラ・エントラーダ経由サンペドロ・スーラ行きのバスに乗り込みました。バスは、コパンの町、北東にある「Paty」ホテルの前から出ています。コパンの町は小さいため、どこのホテルからでもここへは歩いていけることと思います。ちなみに私が利用したバスは、Congolon社?のものでした。このバスは午前4時から夕方まで、1時間に1本という頻度で出ている模様です。費用は50レンピーラでした。参考程度に書いておくと、この方面へは、Cosasola社も運行しているのかもしれません。が、現地の人に聞いてみたところ、「Cosasola社のバスは、ラ・エントラーダを経由しないとのこと」。スペイン語での問いかけ、回答だったので、定かではありませんが。とりあえず、現地の人から聞いたこの情報を元に、Congolon社のバスに乗り込み、出発したのでした。

 バスは山中を猛スピードで進みました。いくつ山を越えたことでしょう。アップダウン、カーブの連続に車酔いを起こしそうな雰囲気でしたが、幸い窓全開、そしてメルセデス(メルセデス・ベンツ製のボロバス)バスのサスペンションの硬さもあり、事なきを得ました。朝の7時過ぎ頃だったでしょうか。運転手から、「チーノ!、おまえはここでおりなきゃだめだ!」の声。あらかじめ、「俺は、今日エルサルバドルに入りたいから、国境に行きたい。国境行きのバスに乗り継ぐことのできる、ラ・エントラーダで降りたい」と運転手に念を押しておいたこともあって、運転手はしっかりと知らせてくれました。ただね、"チーノ"が余計だよ。運転手の呼びかけの後、乗客皆に聞こえるくらいの大声で、「ソイ、ハポネース!(俺は日本人だ!)」と答えておきました。あぁ、やっぱりコレ言われると気分わりぃ。ぷんぷんしながらバスを降り、勇んで乗り換え地点に向かおうとしたときでした。あれ!いつもよりバックが軽い。「あっ!"第二の貴重品バック"を車内に忘れた!」。あせりました。たいそうあせりました。俺だけを下ろし、すでに動きかけているバスに向かって、大声で叫びながら全力走行しました。"第二の貴重品入れ"には、アメリカドルのキャッシュ、日本円のキャッシュ、パソコン、トラベラーズチェック、つまり、パスポート、クレジットカード、緊急時用のUS$20を除いて、ほか全ての資金がそこには入っていたのです。「あーれー、まってー!」

 おかげさまで、バスは止まってくれました。気づくのがあと数秒遅かったら、この旅行も続けられたかどうか。トラベラーズチェックは再発行できるにしても、それにはかなりの時間がかかるだろうし、パソコンはどこかに消えるだろうし、現金も全て消えるだろうし。私はバスに乗車する際、いつも荷物を3つに分けます。1つはバックパック。これはかなりの大きさのため、通常客席に持ち込むことを禁じられてしまいます。乗客1人分のスペースを取ってしまうため、他の乗客の迷惑になるからです。特に、どこの国でもそうですが、時として、乗合バスは大変な込みようとなります。実際のところ、今日のバスも定員の1.5倍くらいの人が乗車していたのではないでしょうか。なんせ、4人がけのいすに6人が座っているありさまですから。ですから、この"でかい"バッグは、結果として、バス天井の荷物台にくくりつけられて雨ざらしの環境に置かれるか、バス床下の荷室で大きな振動にさらされることになるのです。この雨、振動の類は、パソコンにとってもっとも避けなければならないものですし、バス天井から、バッグが道路に落ちてしまう可能性も否定できません。バス床下の荷室にしても、だれかが間違ってあるいは故意に持っていってしまう危険性もあるのです。多くの国のこういったバスでは、荷物の受け渡しなんていいかげんですから、ある人が「あのバックパックは俺のだ」って運転手に言えば、私のバッグは簡単に他人の手に渡ってしまうわけです。であるから、手ごろな大きさのバッグにパソコンと貴重品を入れ、第二の貴重品バッグとして客室に持ちむ必要があるわけです。このバッグが2つめの荷物となります。最後に、3つ目のバッグ。これはウエストポーチなのですが、ここには、最重要アイテム、つまりパスポート、航空券、クレジットカード類が入っています。他全てのものをなくしても、最悪これだけあれば、日本に帰ることができます。これが第一の貴重品バッグ、つまり3つ目の荷物です。普段バスに乗る際は、ウェストポーチはカギを掛けた状態で腰につけておき、第二の貴重品バッグはひざの上で抱えておくのですが、今日は少し違ったのです。寝不足からの疲れもあり、疲労を軽減すべく、第二の貴重品バッグを自分の頭上にある荷棚におき、またそれが落ちてこないようにしっかりと結わえておいたのでした。この状況に加えて、運転手からの突然のおりろコール、しかもチーノ付き。びっくりと怒り心頭と、そんな混乱の中で、一時、第二の…の存在が、すっぽりと抜けてしまっていたのでした。あぁ、常に注意を払いながら、また平常心を保たなければだめだなぁ。こんなことを再確認したのでした。やっぱり一人旅は自由である反面、様々なリスクを伴います。荷物紛失、盗難、その他諸々。常に緊張感を持って行動することの重要性とその難しさ。頼れるものは自分のみ。なかなか大変です。

 さて、旅行記に戻りましょう。ラ・エントラーダの町には、ハプニングもありながら、無事到着しました。ここから目指すところは、エル・ポイ(ホンジュラス、エルサルバドル国境の町)行きバスへの乗り換え地点です。ハプニングを切り抜けた後の、なんともいえない気の緩みを消し去るために、タバコを一吸いし、また歩き始めました。周りの人々に聞きながらたどりついたところは、先ほどのバスを降りたところから200m程離れたバスターミナルでした。10分ほどすると、目指す方向に向け、1台のバスが通り過ぎようとしました。先ほど道を尋ねた数人のホンジュラス人が手を振ってバスを止めてくれ、私に「乗れ乗れ」合図をしてくれます。なにか、とても嬉しく、泣き出してしまいそうな気分になりました。この時が、先ほどのピンチを切り抜けた後だったということもあったでしょう。彼らの、バスに向けて大きく手を振ってくれた様を、今思い出すことができます。写真には取れませんでしたが、何か、心の中に鮮明な写真が浮かび上がるかのように、思い出すことができます。

 エル・ポイの国境に到着したのは、ラ・エントラーダを出てから3時間あまりがすぎた午前11時頃でした。ラ・エントラーダからエル・ポイの間は、またもやものすごい山道で、箱根の峠が3時間続いた、といったようなものでした。また悪いことに、そのバスがアメリカの長距離バス、グレイハウンドでリタイヤしたと思われるもので、アメリカ仕様ならではの、乗り心地重視のふわふわサスペンション。こどもは吐くし、俺も吐きそうになるし。

 30分ほどコメドール(食堂)で休憩、野外で放尿した(「トイレはどこ?」って、店主のおばちゃんに聞いたら、「トイレは無いから、そとでしなさい」だった)後、イミグレへと向かいました。ここのイミグレは、とても興味深かったです。ホンジュラスとエルサルバドルって仲の良い国なんだねって思わせる光景がそこにはありました。出国処理と入国処理を、一つの施設内で、それぞれの国の制服を着た職員が机を並べて、談笑しながら行なっているのです。出国処理のために、ホンジュラスの職員にパスポートを渡したら、「オー!ハポネス!アディオス!」と言いながら、隣の席のエルサルバドル職員に私のパスポートを手渡しました。隣の席のエルサルバドルの入国審査官は「オー!ハポネス!バモス!」なんて返して、2人で「ワッハッハ」なんて笑っているし…。エルサルバドル人の入国審査官が私に尋ねてきたスペイン語「何日くらいエルサルバドルに滞在しますか?」を私が理解できずにオタオタしていると、すかさずホンジュラスの審査官が英語で通訳してくれたり。なんか、こういう入国審査も良いなぁなんて感じたのでした。

 ここで一つ耳より情報。なんとこの国境では、出入国に際しても一切費用を払うことなしに、出入国できました。なぜかは分かりません。地球の歩き方にも、ホンジュラス出国、エルサルバドル入国双方で手数料がかかるとの記載がありますが、私の場合タダでした。イミグレの外にいる英語のできる両替のおっちゃんに聞いてみましたが、「タダはおかしい。でも出入国のスタンプもらえたんだったら、問題なしだから、得したね」なんて答えでした。

 英語のできる両替のおっちゃん捕まえたんで、すかさず、レートを聞いてみました。「レンピーラが100くらいあまっているのだけれども(バス代、出入国時にいくらかかかるか分からないから、残しておいた)、レンピーラからコロンに両替した際のレートを教えて!」ここで、予想もしなかった答えが返ってきました。「コロン?、いや、アメリカドルに変えてあげるよ」。「え?アメリカドル持っていても、エルサルバドルでは使えないでしょ。コロンが通貨だよね」。「コロンは最近はあまり使われていないよ。エルサルバドルではアメリカドルを使うのが普通だよ」。「は?」。地球の歩き方には、通貨はコロンってかいてあるぞ!米ドルが使えるなんて一言も書いていない。実際に町に来てみたら、本当だ。誰もコロンなんて使っていなかったのです。スーパーでも米ドルの値段、バス代も米ドル払い。なんか、おかしなものだよね。他の国の通貨を使っているんだよ。アメリカが正式に了承しているのかどうかは分からないけれど。

 最後にエル・ポイからサンサルバドルまでの道のりを記しておきます。エル・ポイのイミグレから、サンサルバドル行きバス乗り場までは、歩いて数十メートルです。そこに、サンサルバドル行きの乗合バスが止まっています。値段は1ドル25セント。数キロごとのバス停に停車しながら、2時間くらいかけて、サンサルバドルの東バスターミナルに到着します。バスターミナルからは、私は目指すホテルLeonまでタクシーで移動しました。うんちゃんの最初の言い値が3ドル。値切って2ドル50でいけました。が、この値段もぼられているのかも。よくわからん。歩いても2km〜3kmくらいかと思いますが、面倒くさいので辞めました。治安に対する不安もあったし。でもね、夕方カテドラルの周辺やクアルテル市場の周りを歩いてみたけれど、そんなに危険とは感じませんでした。やはりカメラは、場所を選んで出していたけれども。あいかわらずこの国にも機関銃を持った警官や兵士が町にたくさんいます。このことを不安に思うべきなのか、はたまたこれは安心すべきことなのか…。

 以上。
 

- 本日の出費 -

レート : L1=US$0.06=\7
レート : US$1=\124

- 移動費 -

From: To:
Copan La Entrada L50
La Entrada El Poy L30
El Poy San Salvador US$1.25
San Salvador Mercado Cuartel US$2.50
 

- 飲食費 -

コミーダ (昼食) - 定食(ライス、チキン、フリホーレス、トルティーヤ) L15
コミーダ (夕食) - 定食(ライス、フライドチキン、トルティーヤ、コーヒー) US$1.80
ビール350ml * 4 (夕食) US$3.63
水1.5Litter * 1 US$0.54
 

- 雑費 -

宿代 US$5.25
たばこ (Belmont Lights) L15

更新地 : San Salvaror( El Salvador)

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