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旅日記 |
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2003年05月17日(土) タンジャヴール 晴れ - 素晴らしい出会いの後に自己嫌悪 - |
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ナマステ。 今日は、午後から"ユネスコの世界遺産"にも登録されている「ブリハディーシュワラ寺院」というヒンドゥー寺院に観光に行ってきました。1000年以上も前に、当時この地方を治めていたラージャラージャ一世(王の中の王という意味だそうな。マハラージャはインドの言葉だって知ってた?)によって建立されたこのお寺は、60m以上の高さを持つ本堂がそびえるように立つ巨大な寺院でした。建立当時はインドはおろか、世界最大の寺院だったそうです。現在も本堂の高さは、インド一だとのことです。堂々とした本堂の上には、一塊の岩から切り出された80tにも達するという冠石が配置されています。80tが60mの位置に持ち上げられているんですよ。しかも1000年も前の技術でそれを成し遂げたとは、すごいことだ。"冠石を設置する際には、長さ6Kmにも及ぶ傾斜路を作って頂上まで引き上げたらしい"(地球の歩き方より)だそうです。 寺の中では、シヴァ神の象徴である高さ3mもあるリンガと呼ばれる男根像を眺めたり、大きさ6,7mはあろうかと思われるシヴァ神の乗り物である聖牛ナンディ像(だからインドでは牛が聖なる動物なのです。英語の「Holy Cow!」という言葉はここからきているのか?)を観察したりと、すべてが巨大なこのお寺を満喫しました。 お寺自体ももちろん素晴らしいものでしたが、このお寺では、それ以上に素晴らしい出来事がありました。その出来事は、ふとしたきっかけから生まれました。 「写真とりましょうか?」 写真の取り合いっこをしていた、あるインド人グループに、そんなふうに声をかけました。 「すみません、じゃぁ、グループ全員の写真をとりたいので、お願いします」 「わかりました」 写真をとり終えた後、挨拶の後にインド人グループはこう続けました。 「これから昼食を取るから、一緒に食べませんか?」 「いえいえ、もう食べたので結構です」 「いや、少しだけなんで、食べてください」 グループの中にいたこども3人の勢いに圧倒され、手を引かれながら、本堂の前にある芝生に陣取りました。すると、近くにいた老婆と老爺がグループに合流してきました。なんと彼らのおじいちゃんとおばあちゃんだと言うではありませんか。おばあちゃんが、手製のカレー、レモンライス、ドーサーなどを取り出すと、彼らの食事タイムが始まりました。もう本当に食え食えとうるさい。せっかくなんで少し頂いてみると、これがとても美味かったのです。遠慮もせずに、お代わりまでしてしまいました。 食事のあとは、おばあちゃんやおじいちゃんと英語で話したり(高齢の方々はとても綺麗な英語を話します。イギリス統治時代の産物なのでしょう)、片足の不自由な男の子の手を引きながらお寺を周ったり、女の子と手をつなぎながら露天までジュースを買いに行ったり、久しぶりに家族の中に入ったかのような、とても楽しいひと時でした。8人グループの内訳は、「おじいちゃん」、「おばあちゃん」、「その息子」、「息子の嫁さん」、「息子の妹である女の子」、「息子のいとこである女性」、「息子のいとこである女の子」、「息子のいとこである男の子」といったものでした。自己紹介をされても、8人の名前全てを覚えられるわけも無かったのですが、ちょっとした冗談なんかが我々を寄り親密にしました。 「アラギリです!エンジニアをしています」 「ティラガーです。6年生です!」 「ひろしです。4年生です!」 なんのこっちゃ。29歳にもなって4年生だって。 2、3時間、彼らと共にすごしたでしょうか。嬉しいかな、皆になかなか気に入られてしまい、程なくして執拗な「今夜、ぜひ、家に来て泊まっていってくれ」攻撃が始まりました。特に一人の女の子には、とても気に入られてしまって(ほっぺにキスされまくりでドギマギした俺。情けない…)、彼女はすがるような表情でこう訴えるのです。 「You come to my house please!」 彼らの家はティルチラパッリにありました。ここからだと往復で4時間くらいはかかる距離です。しかも、今晩はホテルを予約してしまっています。おじいちゃんやおばあちゃんからも「ぜひおいでください」なんて丁寧に言われましたが、俺の答えは、 「I want. But, I have to go to Pondicherry tomorrow... And, I've already paied the money to my hotel for tonight. Im so sorry.」 「行きたいけれど、明日ポンディシェリーに行かないといけないの。しかも、今晩はホテルの予約もしてしまったし…」 彼らとは、その後も互いの写真を取ったり、芝生の上で追いかけっこしたりしながら、時間を過ごしました。中米以来、こどもたちと走り回って遊んだり(足の悪い男の子は、俺が肩車をしながら走った)といったことは無かったので、とても楽しいひと時でした。 あぁ、ホテルに帰ってきた今、ふと思うと、後悔してしまっている自分がいます。得に、俺が「ごめん、行けないよ」といった時の、女の子の残念そうな表情が思い出されます。何か、彼女の期待を裏切ってしまったような、そんな後ろめたさでいっぱいです。こどもの素直な歓待を、ホテルのお金を払ってしまったとかいう、大人の都合で断ってしまいました。 現地の人と深く触れ合って…、「これが俺のしたかった旅行じゃないのか?」、「現地の人の中に入っていって、皆と様々なことを話し、生活の様子を拝見し…、これが俺のしたかった旅行じゃなかったのか?」。今思えば、行っておけば良かった。そういえば、モロッコでも列車の中で仲良くなった現地の人から、「実家に遊びにきなさいよ」なんて誘われたことがありました。その時も、列車のチケットを持っていたこともあって、答えは「ごめんなさい」でした。今日も自分の予定を優先させてしまった自分。実を言うと、彼らの家庭を訪問しなかった(できなかった)理由は、時間とかホテルとか、そんな理由だけではなかったような気がします。何か家族とか、和気あいあいといした、そういう枠の中に入ろうとすると、臆病になって、少し身を引いてしまう自分に気づきます。そして、そんな自分に自己嫌悪を感じています。家族の中に入っていって、その中で上手くやっていけるかどうか、自信が無いのかもしれません。何か、和気あいあいの一団の中に深く入り込んでいくのが、億劫で、怖くて、俺にはそんな部分が少しあるかもしれません。 あぁ、自己嫌悪。 そうそう、お寺散策の後、床屋で髪を切ってきました。お寺で彼らと撮影した写真を見てみたら(デジカメだからすぐ見れるのだ)、髪の毛が相当ボワっていて愕然としました。ということで、アンテナ(後頭部についている20cmくらいの長さの髪)を残したまま、他の部分を坊主にしてもらってきました。少しインド風の髪型ですが、まぁ、良しとしましょう。最近は鏡も見ていないし(だって、安宿には、たいてい鏡がないんですもの)、あまりこだわらないです。 あぁ、自己嫌悪。 |
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- 本日の出費 - |
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レート : Rs1(ルピー)=\2.5 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
- 移動費 - |
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- 飲食費 - |
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- 雑費 - |
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更新地 : Tanjavur ( INDIA ) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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