旅日記


2001年10月14日(日)
トロント


-ジェフおじさんの家に遊びに行く-
今日は写真なし。

 今日は、久しぶりのお出かけ日にもかかわらず、あいにくの雨模様。一人住まいのカナダ人男性宅を訪問するので、英語が通じるか?、うまくコミュニケーションが取れるか?なんてこともあり、朝から少し緊張していました。

 そうそう、最近は家に閉じこもりっぱなしで、ほぼ引きこもり状態。朝の7時くらいまで、酒を飲みながらInternetマージャンをやり、起床は午後6時というとんでもない生活を送っています。一日の間で、人と話すのは、タバコを吸いに外に出たときに出会う中国人ハウスメイトとのみという感じです。まぁ、いいです。

 さて、このカナダ人男性は、名前をジェフといいます。イギリス系のカナダ人で、年齢は67歳といったでしょうか。トロントの北部に一人で暮らしています。結婚暦があり子供もいるのですが、現在子供は独立し、奥さんは家にいない模様。奥さんとは離婚したのか死別なのかは定かではありません。聞けませんでした。

 私の住むSheppardからバスを2本乗り継ぎ、約束時間の5分前(日本人だよねー俺って)に、彼の家に到着しました。彼の家付近で10分ほど時間をつぶし、約束時間5分遅れの6時5分(カナダでは、ちょっと遅れていくのがマナーと聞いた)に彼の家を訪ねました。
「ピンポーン」

 ところで、なぜ私がこのジェフなる人物と知り合いになったか、ちょっと書きましょう。以前、私は筆まめというパソコンソフトのお仕事をしていました(正社員でした)。ここの会社では、社内教育の一環として、週一回、英会話の授業を開催していました。無料ということもあり、旅に出ようともくろんでいた私は、迷うことなく参加しました。この授業の講師が、ジェフの娘さん「シャーン」だったのです。あるとき、私が会社をやめて旅立とうとしていることを彼女に打ち明けると、
「私の実家がトロント(カナダ)にあり、パパ(ジェフ)が一人で住んでいるから、いつでも訪ねて。寝場所(ホテル)が無かったら、siしばらくは寝泊りできるよう、パパに頼んでおいたから。トロントの空港着いたら、パパがあなたを迎えにいくよう手配もできるから、必要だったら言ってね」ってな話だったのです。しかしながら、何から何まで世話になるのも申し訳ありません。ということで、彼(ジェフ)には、先日まで連絡をしなかったわけです(遠慮の心-またもや日本人らしいよね俺)。

 呼び鈴を押すと、カナダ人にしては小柄な(かといって俺よりはでかい)初老の紳士が姿をあらわしました。変な英語で自己紹介したあと、リビングのソファを薦められ、腰掛けました。さーあ、ここからが大変でした。今日の天気、ここに来るまでの道のり、この家の感想、日本での私とシャーン(彼の娘)の関係、今私が何をしているかなどを軽く話し…。うーん、ここから話題がありません。日本語なら楽々会話を発展させることが出来るのですが、なにせ英語。壁に飾ってある絵や置物を見て、「What's that?」「Oh! Beautiful!」「Oh! Wonderful!」などを連呼しました。部屋のすべてを見回し、突っ込みポイントがなくなった後、持参したパソコン内に入っているデジカメ写真を披露します。ですが、今ひとつ面白い写真がありません。下(シモネタ)に持っていこうかとも思いましたが、さすがに67歳では相手が悪い、やめました。ここで起死回生の一手、持参した「梅酒」をテーブルの上に載せました。ジェフは、梅酒というよりも、酒に強い興味を示したようです。
「おぁ、お前は酒好きか。俺は大のビール好きだ。ディナーを食う前に、ビールを飲むか?」
「ビールですか?好きです。好きです。大好きです」

 酒が入れば、こっちのものです。ビールを双方3本くらい空けた後、ディナータイムが始まりました。ディナーの内容は、彼お手製の「タイ風スープ」、「パスタ」、「チキンの煮込み」、「デザート」と豪華なものでした。サラリーマン時代に世界中をめぐった彼の料理は、本当に素晴らしいものでした。トムヤムクンっぽいタイ風スープなどは、タイで食したものと変わりない味でした。その後もビールをガンガンに空けながら、彼が訪れた各国の名所、嫌いな国について、好きな国についてなど、様々な話を聞くことが出来ました。酔いのせいもあり、互いに笑い声も大きくなり、楽しい時間を過ごせました。

 夜12時を過ぎた頃でしょうか。
「では、そろそろおいとまいたします」
と切り出したところ、
「まだまだ、ビールはあるぞ。バスは24時間やっているから、もう少し飲んでいけ」
という話になり、またもや飲み始めました。深夜2時頃に彼の家を出るまでの、その間のことは少し記憶がおぼろげです。彼がエレクトーンを習っていることもあり、エレクトーンのある練習部屋へと連れて行かれ…、椅子にそっと、二人で腰掛けると…

いえいえ、冗談です。何も変なことはないですよ。エレクトーンの操作を習いながら、それを弾き始めました。私も中学校卒業までの9年間、ピアノを習っていたこともあり、少しばかりピアノが弾けるので、「なんて言ったっけ?(滝廉太郎の曲)」、「ふるさと」や「川の流れのように」など、日本チックな曲を披露しました。弾いたり、歌ったりと大騒ぎした後、「お礼」と、「再度の再会を願って(かなり酔っていたから、本当にめちゃめちゃだったと思う。通じているか心配)」、家を後にしました。

 翌朝、様々な驚きと不安を抱えながら起床しました。昨晩、彼の家を出たあと、自宅までどうやって帰ってきたかよく覚えていません。もちろん、バスに乗って帰ってきたわけですが。よく帰ってこれました、俺。帰宅途中コンビニに寄ったらしく、「ポテチ」と「サラミ」が、セブンイレブンの袋に入ったまま、ベッド横に投げてありました。でも、しっかりと着替えてから寝ている俺。あぁ、自分が怖い。自分の知らない、自分の空白の時間。また、悪乗してシモネタなどを連発していなかったかがとても心配です。

「来週の日曜あたり、ナイアガラにでも連れて行ってあげるよ。俺の来週のスケジュールが決まったら、メール送るから」
と、ディナーの最中、ジェフは言っていました。シモネタ連発男になっていたら、引かれているかもしれません。メールがちゃんと来るか、かなり不安です。
更新地:トロント(カナダ)

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