旅日記


2001年6月2日
バンコク
晴れ

-旅の目的-

ひでとRUNちゃん

RUNちゃんは、台湾系のタイ人だそうだ。

 成田発AIR INDIA309便に乗り込んだ2人(私&ひで)は、エコノミーの3人横並び席最後尾に陣取り、離陸までの時間を待ちました。「おぉ、ひで、機内、インドっぽいでしょ」「本当に大丈夫なの? AIR INDIAで。JALとかじゃなくてもいいけど、せめてタイ国際航空あたりにすればよかった。なんか、怖いよ。ちょっと」「大丈夫だって。4年前にインド行ったとき乗ったけど、ご飯もおいしかったし…。ちょっとびっくりしたのは、カルカッタに着いたときに、乗客の多くが万歳したことくらいだもん」 「うわっ、それ聞くと、ますます怖くなってくる」

 私たちが選んだ会社「AIR INDIA」は、エアライン決定時、「ビーマン・バングラデシュ航空」と激しいつばぜり合いを演じたのでした。「うーん、やっぱり安いのはインドとバングラデシュの飛行機だなぁ。どうしよう?」 「ひで」はちょっと考えた後に言いました。「えー、やめようって。落ちたら、補償金とか少ないんでしょ。エア代、5、6万だったら、いいじゃん。ほかの乗ろうよ」「いや、AIR INDIAなら、4万5千円だよ。これにしよ!もう予約しておくから」。

 そんなこんなでAIR INDIAにきまっちゃいました。

 離陸前の飛行機の中では、こんな会話が始まりました。「ひで、今回の旅行、なにする? なんか、見たいのある?」。 「ひで」は、「うーん、ムエタイ見たいくらいかな。俺なんか、海外初めてだし、飛行機も3回目だし…。ちょっと、今考える余裕ない!」。私も飛行機は苦手です。ですが、「飛行機は落ちないから大丈夫!。AIR INDIAだからって、馬鹿しちゃいけないよ。俺だってインドに行ったことあるだけで、海外2回目だし。大丈夫だって! それより、俺も何しよ。いいや、現地行って探そうよ!」(俺を知っているいる人が、見ていたらごめんなさい。皆さんには、「俺は、ハワイにも行ったことがあるよ。インドは、二回目の海外旅行で行った」と言っていたのですが、それは嘘です。だって、「初めての海外旅行でインド行ってきました」っていうと、変な顔されることが多かったもので。)

 そんなところに、ひょこり現れたのが、「かずさん」でした。我ら2人の横が、彼の搭乗席でした。かずさんは、離陸が近づくにつれ顔をこわばらせ、しまいには、ぶつぶつ独り言を言いながら手を合わせ、お祈りをはじめてしまいました。正直言って、「変な人が隣になったなぁ。あんまり、話し掛けてこられても困るなぁ」そんな感じでした。

 離陸が完了した後、人が変わったように、「かずさん」は饒舌になりました。いろいろ話してみると、かなりいい人っぽいです。タイに赴くのは5回目で、空港からバンコク中心部までの行き方や、お勧めホテル情報など、さまざまな情報を教えてくれました。饒舌とともに、また、彼の飲みっぷりも我々をびっくりさせるには十分でした。彼は、ビールを2本飲んだ後、ウィスキーをストレートで4杯飲みました。男性のフライトアテンダントに「最後の一杯だよ!(英語)」といわれながら、5杯目も飲み干しました。その後、乗務員が通るたびに懇願し、あきれた乗務員から、やっとの思いで6杯目をもらい…。その後は、乗務員がいない間に、Drinkボックスから酒の盗難を試みたり…。最後には、乗務員も根負けです。「Hey! Whiskeyman!」という声とともに、7杯目を持ってきてくれたのでした。ここで終わらないのが「かずさん」です。英語がからきしだめな「かずさん」は、「あるんだったら、最初からもってこい!」と日本語で言って、もう一杯を粘るのでした。結局、「かずさん」は、ビール2本、ウィスキーストレートを8杯飲みました。普通の人にとって、離陸より怖い着陸、人一倍怖がりの「かずさん」にとっては、かなりこたえるはずです。そんなとき、「かずさん」が笑いっぱなしだったのは、ご想像の通りです。

 バンコクのドンムアン空港に着いたのは、現地時間で午後の4時でした。「到着を記念して、一杯飲もう!」という「かずさん」に連れられ、我々は空港内のレストランにて「小宴会」を催しました。かなり打ち解けた我々は、「かずさん」にいろんなことを質問しました。「かずさんは、何しにバンコクに来たんすか?」「かずさん」は、小指を立てながら言いました。「機内から言ってたとおり、これよこれ」「えっ、それってマジなんすか?」。

 空港を後にした我々2人は、すでにすっかり「かずさん」のペースにはまってしまいました。「とりあえず一泊目は」ということで、A2ルートのエアポートバスに乗り、Sukhumvit通りにある、「かずさん」お勧めホテル「Miami Hotel」にチェックインしました。

 チェックイン完了後、早速「かずさん」から、お誘いが来ました。「いいところがあるんだけど、ちょっと飲みにいかない?」我々2人は疲れていましたが、到着した安心感と酒の誘惑から、「かずさん」のいう「いいところ」に行ってしまいました。

 タクシーに乗った「かずさん」は、運転手にタイ語で何かを告げました。タイに5回きている「かずさん」のタイ語は、なかなかのものです。そして、着いたところは、すごくきらびやかなお店でした。確か、「J'S CLUB」というお店だったと思います。黒服っぽいお兄さんに案内されて行った先には、ガラス越しにたくさんの女性が並んでいました。女性の数は、100人以上だったと思います。左側がある程度の年のいった女性(40歳くらい?いわゆる、”熟女”というやつです)、右側が10代後半くらい?、真ん中が20代といった感じでした。ドレスアップした女性は、皆とてもきれいでした。店内には、日本人客もかなりいるようで、日本人と店員の「いくら?」「Noたかい、やすいね〜」といったやり取りが耳に付きました。来ている客は、皆、40、50代で、若輩者は、我ら3人のみでした。ちょっと危険な言い方ですが、あえて書くと、「動物園」みたい。それが私の素直な感想でした。タイの女性が、西洋人や金持ち日本人からもらえる「えさ(金)」を「おり」の中で待っているみたいで…。こんなところにきている私が、日本人が、なにか、寂しくて、情けなくて。なんという表現が適切なのか、よくわかりません。ただ、心にずしっときました。なんか、いやです。こんなの。ただ、ここで働いている女性やここに来ている人間を否定するわけではありません。私的に、「ちょっと違うな」と思っただけのことです。まぁ、勉強になりました。今の日本にはないですものね。こういうところって。

 「かずさん」と我々2人は、店を後にしました。かずさんの行き着けがあるということで、ホテル近くの「飲み屋」に行くことにしました。入ってみたところ、やっぱり(笑)…。20人ほどのおねえさんが、裸で踊っていました。前の店でちょっと辟易していた私は、1時間ほど店員さん(踊り子さんではない)と”へたくそ英語”で会話を楽しみました。店を後にしようと思い、「ひで」のほうを窺ってみると、なんと、テーブルに降りてきた踊りこさんと、いい仲になっているではありませんか。タイ語はおろか、英語の全くできない「ひで」。大丈夫でしょうか?

 店を出るとき、ひでは彼女(RUNちゃん)を、4000バーツ(1万2千円くらい)でお持ち帰りしちゃいました。チェックイン時にツインルームを取っていた我々は、協議の末、どちらかが、部屋を出ようということになりました。「しょうがなやつだなぁ。俺が出て行ってあげよう」ということになりました。

 ツインルームを追い出された私は、フロントのタイ人と宴会後、ホテルフロントにて就寝です。気の大きくなっていた私は、すべてのビールをおごってしまったようです。もう、べろべろで、今となってはなにも覚えていません。


俺とフロントのおにいさん
すごく調子いい奴です。
俺と何でも屋役の親父。
おなかにトラの刺青があります。
かなりかわいいトラで、ちょっと笑ってしまいました。

 翌朝、部屋に戻った私は、ひでに聞いてみました。「すごいなぁ、初日から。あほか!」「ひで」はにこにこしながら言いました。「おれ、タイの風俗を極めたくなってきた。」なんじゃ、そりゃ。「ひで」の”タイ旅行の目的”それが、この一夜で決まりました。俺は何しよ。

 到着当日から、えらくハードなバンコクでした。
更新地:バンコク(タイ)

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